会議で議論ばかりが長引き、結論が出ないまま終わる──そんな経験はありませんか。特に女性リーダーの場合、メンバーの意見を尊重するあまり議論が拡散しやすくなります。その結果、行動に結びつかないこともあります。そこで役立つのが、EOS(起業家型組織運営システム)のDiscuss(議論する)です。まずIdentify(原因を特定する)で課題を洗い出し、それを建設的な議論を通じて次のSolve(解決)へつなげます。
IDSは、EOSの課題解決フレームワークです。Identify(原因を特定する)、Discuss(議論する)、Solve(解決)の3つのステップで構成されます。会議で課題を効率的に解消することを目的としています。
まずIdentifyで原因を徹底的に追及します。その結果を基にDiscuss(議論する)で建設的な議論を行います。そして、その議論を次のSolve(解決)につなげます。具体的な行動と解決へ結びつけるための重要な橋渡し役、それがDiscuss(議論する)です。
関連記事:
問題解決は原因特定で決まる|EOSツールで真の原因を知る(Identify編)
Discuss(議論する)とは何か
EOSのDiscuss(議論する)は、Identify(原因を特定する)で見つけた真の課題について多角的に意見を出し合うステップです。その上で、最適な解決策の方向性を決めます。つまり、単なる意見交換ではなく、Solve(解決)で即行動に移せるような結論を導く段階です。
建設的な議論とは
建設的な議論とは、感情的な対立や責任追及ではありません。解決策を生み出すための前向きで目的志向の意見交換です。特に女性リーダーは、場の雰囲気づくりや全員の発言を引き出す力を活かせます。次の要素を意識すると効果的です。
- 解決の方向性を明確にする
- 複数案を公平に検討する
- データや事実を根拠に判断する
- 感情ではなく目的に基づいて進行する
良いDiscuss(議論する)を行うための3つのポイント
1. 発言の場を均等に与える
一部の声が大きい人だけで議論が進まないようにします。そのため、順番発言や指名を活用し、全員の意見を引き出します。
2. データと事実を基に議論する
感覚や憶測だけでなく、スコアカードや実績データなど客観的な根拠を使います。そうすることで、議論の質が高まります。
3. 脱線や感情的な議論を防ぐ
女性リーダーは共感力を活かしながら進行します。しかし、議論が横道に逸れたり感情的になった場合は、すぐに軌道修正を行います。
議論を行動へつなげるステップ
議論の段階 | 目的 | 良い例 | 悪い例 |
---|---|---|---|
意見出し | 多様な案を集める | 全員の発言を引き出す | 一部の人だけが話す |
比較検討 | 最適案を選定 | メリット・デメリットを整理 | 感情で判断する |
方向性決定 | S(Solve)へバトンタッチ | 次の行動を明確化 | 結論があいまいなまま終了 |
まとめ|建設的な議論で成果を動かす女性リーダーへ

Discuss(議論する)は行動への架け橋です。女性リーダーこそ、建設的な議論で全員の知恵を引き出しましょう。そして事実に基づいて整理し、行動計画へつなげます。次のSolve(解決)で確実に実行されるための土台を、このステップで築きます。
あわせて読む|IDS三部作
I=Identify|真因を一行で定義する
S=Solve|“動きが見えるToDo”の作り方
参考書籍『TRACTION』の活用ポイント
本記事で解説したDiscussは、EOS(起業家型組織運営システム)の公式ガイドブック『TRACTION』でも詳しく紹介されています。著者ジーノ・ウィックマンは、議論の目的は「人を説得すること」ではなく「最善の解決策を見つけること」だと強調しています。
特に本書では、会議中に感情や立場の違いにとらわれず、事実と目的に基づいて意見を交わす方法が解説されています。女性リーダーがDiscussを進行する際にも、メンバー全員が安心して発言できる環境づくりや、多様な意見を建設的にまとめる力が求められます。
「議論を成果につなげたい」「会議を前進させたい」と感じている方にとって、『TRACTION』は実践的なヒントが詰まった一冊です。
▶ 『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著