部下の行動に気づいても、誰もすぐにフィードバックをしない。
そんな職場の“空気”ができていませんか？
実は称賛も指摘も、早ければ早いほど効果的です。にもかかわらず、組織として「言いにくいことをためる文化」が根づいてしまうと、成長のチャンスは確実に失われます。
そこで役立つのがEOSの24時間ルールです。アメリカの中小企業で当たり前に導入されているこの仕組みは、経営者や管理職が「指摘や称賛をためない文化」を根づかせるための強力な仕掛けとなります。
EOS（Entrepreneurial Operating System）は、経営者やリーダーが組織をシンプルに、そして力強く動かすための実践的なシステムです。
ビジョンの共有から人材配置、会議の進め方まで、会社経営に必要な要素を「6つのコアコンポーネント」に整理しています。
世界中の中小企業が導入し成果を上げている、実践型の経営システムです。
24時間ルールが組織にもたらす効果
EOSが推奨する「褒める・指摘は24時間以内」というルールは、単なる行動規範ではありません。
経営者が健全な組織文化をつくるための土台です。ここでは、女性リーダー育成にも直結する4つの効果をご紹介します。
1. 成長の鮮度を逃さない
人は出来事から時間が経つほど、その背景や感情を忘れてしまいます。
24時間以内に伝えることで、部下は「何が良かったか／何が改善点か」をリアルに理解でき、成長スピードが加速します。
2. 問題の早期修正につながる
指摘が遅れると、誤った行動が「正しい」と勘違いされ、習慣化してしまいます。
小さな問題をすぐに修正する仕組みを持つことで、大きな成果阻害を防ぐことができます。
3. 良い行動の再現性を高める
称賛はタイムリーであるほど効果的です。すぐに褒めることで「このやり方で良かった」と再現性が高まり、チームのパフォーマンスが底上げされます。
4. 信頼関係の基盤を築く
後からまとめて伝えると「なぜその時に言ってくれなかったのか」と不信感を生みます。
即時のフィードバックは「相手を尊重している」というシグナルとなり、リーダーと部下の信頼を強化します。
経営者が守るべき「タイミングの鉄則」
フィードバックのタイミングは成果と信頼に直結します。以下の表の通り、24時間以内と数日後・数週間後では効果がまったく異なります。
| タイミング | 部下への効果 | 組織文化への影響 |
|---|---|---|
| 24時間以内 | 行動の鮮度が高く、すぐに改善・強化につながる。納得度が高い。 | 「すぐ伝えてくれる」という信頼文化が根づく。 |
| 数日後 | 指摘の対象が曖昧になり、効果が半減。 | 「なぜ今なのか」と疑念が残る。 |
| 数週間後 | 当時の状況を思い出せず、改善効果はほぼなし。 | 「その時に言ってほしかった」と不信感が文化に広がる。 |
まとめ｜24時間ルールは文化を守る仕組み
称賛や指摘を後回しにすることは、組織にとって大きな損失です。
24時間ルールは、経営者が「健全な組織文化をつくる」ための実践ルールであり、女性リーダー育成の後押しにも直結します。
指導や育成を「個人の勇気」に委ねるのではなく、会社の仕組みとして定着させる――それがリーダーを育て、組織を強くする第一歩です。
書籍紹介｜EOSを体系的に学ぶ『TRACTION』
今回ご紹介した「24時間ルール」を含め、EOSの仕組みは書籍『TRACTION』で体系的にまとめられています。
『TRACTION』は、世界中の中小企業が成果を上げているEOS（Entrepreneurial Operating System）の公式ガイドブックです。
L10ミーティング（10点満点ミーティング）、石（Rocks）、スコアカードといったツールを通じて、「改善を仕組み化する方法」が具体的に学べます。
経営者や管理職にとって、女性リーダー育成を含む健全な組織づくりの実践書となるでしょう。
▶『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著
