行動指針と従業員指針の違い|EOSで企業文化を浸透させる方法

笑顔の女性リーダーと「行動指針と従業員指針の違い|EOSで企業文化を浸透させる方法」という記事タイトル EOSツール実践ガイド

「コアバリューは掲げている。けれど社員にどう説明すればいいのか分からない」

「行動指針と従業員指針。言葉は似ているけれど何が違うのか?」

経営者や管理職なら、こんな“???”に直面したことがあるのではないでしょうか。

実際、多くの中小企業でコアバリューを浸透させたいと考えています。
しかし、伝え方があいまいなままになっているケースも少なくありません。
社員からすると「誠実であれ」と言われても戸惑います。
何をどうすれば良いのか、具体的にイメージできないのです。

そこで整理したいのが、「行動指針」と「従業員指針」の違いです。
EOS(起業家型組織運営システム)の考え方をヒントに、この2つを区別しながら文化を浸透させる方法を見ていきましょう。

🔎 EOSとは?
EOS(Entrepreneurial Operating System/起業家型組織運営システム)は、経営者やリーダーが組織をシンプルに、そして力強く動かすための実践的なシステムです。
ビジョンの共有から人材配置、会議の進め方まで、会社経営に必要な要素を「6つのコアコンポーネント」に整理しています。
世界中の中小企業が導入し成果を上げている、実践型の経営フレームワークです。

コアバリューとは?

経営は「誰とやるか」が最も重要です。
コアバリューを基準に人を選び、文化に合う人と組織をつくることが、成長の加速につながります。

コアバリューとは、会社が大切にする文化や価値観を言葉にしたものです。
経営者が「この考え方の人と一緒に働きたい」と考える基準であり、組織の旗印となります。

誰と働くかの関連記事:「人に関する判断は経営で最も重要なテーマ」

短く、覚えやすい言葉で表現するのが特徴です。
例)「誠実」「挑戦」「チームを尊重する」など。

コアバリューは単なるスローガンではありません。
文化をつくり、判断をブレさせない土台として機能します。

  • 採用:文化に合う人を選び、合わない人は採らない
  • 育成:日々のフィードバックや行動の基準にする
  • 評価:昇格や配置を判断する際の軸になる

例えば「誠実」をコアバリューに掲げた場合。
行動指針は「約束を守る」「正直に向き合う」となり、さらに従業員指針では「期限前の事前報告」「不具合は即共有」といった具体的な行動に落とし込まれます。

EOSでは、この文化の土台を「コアバリュー」と呼びます。
人の判断(Right Person)や席の判断(Right Seat)にも直結する考え方です。

行動指針とは?

行動指針とは、コアバリューを「具体的な行動」に落とし込んだものです。

会社として、この価値観をどう表現するかを明確に示します。

たとえばコアバリューが「誠実」であれば、行動指針は「約束を守る」「正直に向き合う」となります。
抽象的な言葉を、社員が理解しやすい形に翻訳したものです。

つまり行動指針は、会社が大切にする文化を「行動レベル」で伝えるもの。

理念と日常の行動をつなぐ役割を持っています。

従業員指針とは?

従業員指針とは、行動指針をさらに現場レベルの行動ルールに落とし込んだものです。
社員が迷わず行動できるように、具体的に示します。

たとえば「誠実」というコアバリューを持つ会社なら。
行動指針は「約束を守る」「正直に向き合う」。
従業員指針は「納期を守れないときは必ず事前に報告する」「不具合は隠さず共有する」といった形になります。

従業員指針は、社員一人ひとりの日常業務のスタンダードです。
誰が見ても同じ行動を取れるようにすることが目的です。

行動指針と従業員指針の違い

ここまでを整理すると、行動指針と従業員指針には明確な違いがあります。
下の表で比較してみましょう。

項目行動指針従業員指針
目的コアバリューを行動に翻訳し、文化を伝える社員が日常で迷わず行動できるように具体化する
抽象度中程度(方向性を示す)低い(誰でも同じ行動を取れる)
主体会社・経営陣が示す社員一人ひとりが守る
例:「誠実」約束を守る/正直に向き合う納期前は必ず事前報告/不具合は隠さず共有する
表:行動指針と従業員指針の違い

このように、行動指針は「文化を示す方向性」であり、従業員指針は「現場での具体的行動」です。
両者を区別しながら設計することで、コアバリューが組織に浸透しやすくなります。

EOSで文化を浸透させる方法

笑顔の女性リーダーが職場で立つ姿。EOSを活用して企業文化を浸透させるイメージ。

コアバリューや行動指針・従業員指針は、掲げただけでは浸透しません。
EOS(起業家型組織運営システム)では、文化を仕組みで定着させることを重視しています。

具体的には、次のようなツールや仕組みを活用します。

  • L10ミーティング:毎週の会議でコアバリューを振り返り、問題を早期に発見する
  • ピープルアナライザー:社員がコアバリューに沿っているかを定期的に確認する
  • アカウンタビリティチャート:文化に合った人を適切な役割に配置する
  • フィードバックの仕組み:日常のやり取りで行動が文化に合っているかを伝える

このように、文化を「言葉」から「行動」へ、そして「仕組み」へと落とし込むことで定着が進みます。
経営は「誰とやるか」が最も重要。文化に合う人と組織をつくることが、成長の加速につながります。

▶誰と働くかの関連記事(EOSとコアバリュー|正しい人を見極める基準

まとめ|文化を浸透させる経営の責任

コアバリューは、会社の文化や価値観を示す旗印です。
そこから行動指針、従業員指針へと落とし込むことで、社員が日常で実践できる基準になります。

  • 行動指針:文化の方向性を示すもの
  • 従業員指針:現場での具体的な行動ルール

この2つを区別しながら設計することで、会社の文化は曖昧さなく伝わります。

EOSでは、文化に合った人を「正しい人」と定義します。
その人を適切な役割に配置することが、経営者にとって最も重要な責任です。

文化を守り、浸透させるのは経営の仕事。
コアバリューを軸に採用・育成・評価を行い、組織全体を一つにまとめていきましょう。

書籍紹介|EOSを深く学ぶなら『TRACTION』

『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。
本書では、コアバリューを基盤にした文化づくりの重要性が繰り返し強調されています。

L10ミーティング(週次会議)、石(Rocks)、スコアカードなど。
組織をシンプルに動かすためのツールが体系的に紹介されており、経営者が「文化を守りながら成果を出す仕組み」を実践的に学べます。

行動指針や従業員指針を「形だけ」で終わらせないために。
仕組みによって文化を定着させたい経営者に最適な一冊です。

『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著

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