「あれ、これって誰の仕事？」「やってはいるけど、最終責任は…？」
組織における“責任の曖昧さ”は、業務の停滞や抱え込みを引き起こします。特に女性リーダーが任される現場では、「人に気を遣いすぎてうまく任せられない」「結局自分が全部やってしまう」という悩みがつきものです。
このような状態を根本から変えるには、責任が“見える”構造が必要です。そこで鍵となるのが、EOS（Entrepreneurial Operating System）のツール、アカウンタビリティチャートです。
この記事では、アカウンタビリティチャートを活用して、正しい構造＝成果を生む責任設計をどのように実現できるかを解説します。
なぜ責任が“見えない”組織はうまくいかないのか
責任の曖昧さが生む“抱え込み”と“停滞”
責任の所在が曖昧な状態では、誰も決断できず、誰も手を挙げません。結果として、責任感のある人だけに仕事が集中し、現場は回らなくなります。
よくあるのは、「やれる人がやっている」という状態。これは一見助け合いに見えますが、実際には“構造が整っていないがゆえの属人化”であり、持続性に欠ける危険な運用です。
「担当してるけど、責任者じゃない」状態の危険性
現場でよく聞くのが、「この仕事は私がやっていますが、決定権は別の人です」というケース。責任と権限が分離されている状態では、判断も実行も遅れがちです。
このような“責任のグレーゾーン”は、最終的に成果に対するオーナーシップを誰も持たなくなるという問題を引き起こします。
現場の混乱は“構造”のせいかもしれない
人材の問題に見えるトラブルも、実は“構造の問題”であることが多いのです。
属人的な対応、責任のなすり合い、仕事の重複。こうした症状の根本には、「構造設計がない」ことが潜んでいます。
ここで登場するのが、EOSのアカウンタビリティチャートです。
EOSのアカウンタビリティチャートとは？
組織図との違い：「人」ではなく「役割」ベース
アカウンタビリティチャートは、従来の組織図とは根本的に異なります。組織図が「人の関係性（上下関係）」を示すのに対し、アカウンタビリティチャートは「役割と責任」にフォーカスします。
| 項目 | 組織図 | アカウンタビリティチャート |
|---|---|---|
| 主な目的 | 上下関係の可視化 | 役割・責任の明確化 |
| 基準 | 人に紐づく配置 | ポジションに紐づく責任 |
| 変更のしやすさ | 人事異動が前提 | 役割を再設計できる |
| 成果へのつながり | 間接的 | 直接的に成果と結びつく |
図：組織図とアカウンタビリティチャートの違い
一人一責任の原則｜兼任はOK、分散はNG
アカウンタビリティチャートの基本原則は、「一つの責任は一人に割り当てる」ということです。つまり「責任の分散」は認めません。
兼任はしても良い。ですが、一つの責任に複数人が関わることは避ける。これにより、責任の所在が明確になり、成果の“オーナー”がはっきりします。
「この件は◯◯さんの責任」という明快さが、行動と成果の速さを生み出すのです。
役割を明確にすると、成果に集中できる
アカウンタビリティチャートの導入で、“やるべきこと”と“やらなくていいこと”が見えてきます。これは特に女性リーダーにとって重要です。
責任が曖昧なままだと、真面目な人ほど「全部引き受けなきゃ」と抱え込んでしまいがちです。
でも本来リーダーは、成果に対する最終責任を持ち、手段は任せる立場。構造が明確なら、「任せる勇気」も持てるようになります。
アカウンタビリティチャートで“正しい構造”をつくる
現状の混乱を「構造の問題」として見直す
チームが機能していないとき、「人が悪い」と考えてしまいがちです。しかし、実は「構造が悪い」だけということが少なくありません。
EOSでは「構造が先、人はあと」と明言されています。つまり、人を当て込む前に、まずは正しい構造を設計することが最優先なのです。
責任を“設計”することで任せられる組織へ
「責任を持たせたいけど、うまく任せられない」——。この悩みを解消するのが、アカウンタビリティチャートによる“構造的な責任設計”です。
役割と成果責任を定義することで、個々が主体的に動けるチームが実現します。曖昧な境界線をなくすことで、「任せる」「問う」もスムーズになります。
女性リーダーが構造の起点になるという視点
特に現場を理解している女性リーダーこそ、正しい構造をつくる起点になれます。
現場のリアル、属人化の危険、すれ違いの原因——それらを最も知っている立場だからこそ、構造の見直しに関わることでリーダーシップがより強く、機能するものへと進化します。
まとめ：見えない責任は、構造で「見える化」できる
責任の曖昧さは、構造がつくり出す
責任が見えないままでは、任せることも評価することもできません。そして、何よりもチーム全体が迷い、停滞します。
「人の問題」と思われがちな課題も、構造を整えることで自然と解消されていく。その視点こそ、EOSが教えてくれる組織づくりの鍵です。
「正しい構造」は、チームの成果と安心を生む
アカウンタビリティチャートを活用すれば、責任が明確になり、任せられる・動ける・結果が出る組織へと変わっていきます。
女性リーダーが構造の起点となることで、曖昧さから抜け出し、本当の成果と信頼を生むチームが生まれるのです。
