「能力はあるのに成果が出ない」「仕事はできるけど、なぜかチームに合わない」——。
採用や配置、育成の現場で、このような“人材の違和感”を感じたことはありませんか?
スキルや経験だけを基準にした人材評価では、本当にフィットする仕事やポジションを見極めることは困難です。
そこで活用したいのが、EOS(Entrepreneurial Operating System)で使われている人材適性の判断基準「GWC」です。
この記事では、GWCというフレームワークを活用しながら、「合う人材とは誰か?」「適材適所とは何か?」を見極める視点を紹介します。
なぜ「できる人」が成果を出せないのか?
スキルだけでは“キャリアフィット”しない
職務経歴書の見た目は申し分ない。スキルも実績もある。
——それでも、チームに馴染めなかったり、期待通りの成果が出せなかったりするケースは少なくありません。
これは、「能力」と「適性」は別物であることを示しています。
たとえ優秀でも、その人の特性や志向が業務と噛み合っていなければ、実力を発揮するのは難しいのです。
「やらされ感」が生む停滞とミスマッチ
「この仕事は合っていない」と本人が感じながらも、組織の都合で任されている。
こうした“やらされ感”は、モチベーションの低下・パフォーマンス不振・離職へと直結します。
だからこそ、「できる人」ではなく「合う人」をどう見抜くかが、これからの採用・配置には重要です。
GWCとは?|EOSが示す“適材適所”の判断軸
EOSでは、すべてのポジションにおいて「合っているかどうか」を3つの観点から評価する仕組みがあります。それがGWCです。
項目 | 意味 | チェックポイント |
---|---|---|
Get it | 役割や仕事の本質を理解している | 業務内容・目的を感覚的に理解しているか? |
Want it | その仕事を自ら望んでやりたいと思っている | やらされ感なく、前向きに取り組んでいるか? |
Capacity to do it | 遂行に必要な時間・知識・スキルがある | 現実的にその職務をこなす能力があるか? |
GWCは、次の3つの頭文字を取ったフレームワークです。
- G:Get it(理解しているか)
- W:Want it(やりたいと思っているか)
- C:Capacity to do it(遂行する能力があるか)
この3つすべてに「Yes」が揃っていれば、その人はそのポジションにフィットしていると判断できます。
Get it:役割の本質を理解しているか
まず最初の「Get it」は、その人がそのポジションの役割や責任を感覚的に理解しているかを意味します。
「なぜこの仕事が必要なのか」「このポジションが組織全体にどう貢献するのか」が、自然と腑に落ちている状態です。
いくら説明してもピンとこない場合、そもそも“得意な領域ではない”可能性が高いといえます。
Want it:本人がその仕事を望んでいるか
2つ目の「Want it」は、本人がその仕事を自発的にやりたいと思っているかという判断軸です。
上司に言われたから、チームの都合で任されたから——そうした「受け身の配置」は、長期的にうまくいきません。
やる気は最も重要な適性であり、Want it が欠けている状態は成果にも組織文化にも悪影響を及ぼします。
Capacity to do it:遂行する能力があるか
最後の「Capacity to do it」は、必要な時間・エネルギー・スキル・知識を持っているかという視点です。
本人がやりたくても、実力が伴っていなければ成果は出ません。逆に、能力が十分でも意欲や理解がなければ長続きしません。
この3つのバランスが整ってこそ、適性がある=キャリアフィットしていると言えるのです。
GWCで「合う人材」を見極めるために

採用・配置・評価のすべてにGWCを活かす
GWCは、単なるチェックシートではなく、人材マネジメントの基準軸として活用できます。
採用時の面接、社内配置の見直し、評価・育成の面談など、あらゆる場面でこの3要素を問い直すことが大切です。
「合っていない」のは、能力ではなく構造や配置の問題であることも多いため、責めるのではなく“見直す”視点を持ちましょう。
「合っていない」ことを見抜く勇気も必要
GWCを活用すると、時には「このポジションは合っていない」という結論が出ることもあります。
しかし、それを早く見抜くことで本人のキャリアも、組織の生産性も守ることができます。
合わないポジションで頑張り続けさせることこそ、最も不健全なマネジメントです。
まとめ:GWCで人材も組織も“成果が出る構造”に変わる
合わないポジションは、誰にとっても不幸
成果が出ない、モチベーションが上がらない、すぐ辞めてしまう——これらの問題は、個人の資質ではなく“ポジションの不一致”であることが多いのです。
GWCを使って、「その人が本当に活躍できる場所はどこか?」という視点で見直せば、人も組織も健康に、前向きに変わっていきます。
GWCは、採用の“勘と経験”から脱却するツール
GWCを活用すれば、「なんとなく合いそう」「前職の経験があるから」ではなく、構造と適性に基づいた判断が可能になります。
人材が定着し、成果が出る組織へ。EOSのGWCは、あなたの採用と育成の武器になります。