アイデアが浮かんでも「小手先の改善」ばかりで、大きな未来につながらない…。
経営者やリーダーなら、そんな“あるある”に心当たりはありませんか?
目の前の業務に追われていると、その場しのぎの発想に終始してしまうのは自然なことです。
しかし、現場から一歩離れて俯瞰すると、新しい発想が見えてきます。
そこからこそ、組織を大きく前進させる未来志向のアイデアが生まれるのです。
経営学者のドラッカーは「成果をあげるためには思索の時間が必要だ」と説いています。
実際に、歴史に残る経営者たちも“考える時間”を意識的に確保してきました。
だからこそ、EOS(起業家型組織運営システム)では「クラリティブレイク」を提唱しています。
この時間をあえてスケジュールに組み込み、意識的に確保するよう推奨しているのです。
リーダーが俯瞰し、未来を描く習慣を持つことが大切です。
その習慣を仕組みにできれば、組織全体が大きく前進します。
EOS(Entrepreneurial Operating System)は、経営者やリーダーが組織をシンプルに、そして力強く動かすための実践的なシステムです。
ビジョンの共有から人材配置、会議の進め方まで、会社経営に必要な要素を「6つのコアコンポーネント」に整理しています。
世界中の中小企業が導入し成果を上げている、実践型の経営システムです。
なぜ業務に追われるとアイデアが浅くなるのか
経営者やリーダーは日々、次々と押し寄せる課題に対応しなければなりません。
気づけば「今すぐの対応」に追われ、未来を考える余裕がなくなります。
その結果、発想はどうしても短期的になりがちです。
「売上が落ちたから割引をする」「人が辞めたから急いで採用する」など、場当たり的なアイデアに偏ってしまいます。
これは能力の問題ではありません。
人の脳は処理すべき刺激が多いほど「今すぐ解決」に集中しやすい仕組みを持っているからです。
しかし、その場しのぎの発想だけでは組織は前に進みません。
未来思考のアイデアが生まれるのは俯瞰から

未来を変えるようなアイデアは、現場に埋もれていては生まれません。
一歩引いて全体を俯瞰したときにこそ、大きな構想や新しい視点が得られます。
多くの経営学者が共通して強調しているのは、リーダーにとって“考える時間”が欠かせないということです。
実際に、アップルのスティーブ・ジョブズは散歩をしながらアイデアを練り、マイクロソフトのビル・ゲイツは「Think Week」と呼ぶ一週間の思索期間を設けていました。
彼らの革新的な発想の背景には、現場から離れて俯瞰する習慣がありました。
その時間があったからこそ、未来を動かす戦略や製品を生み出せたのです。
経営者やリーダーにとっても同じです。
俯瞰する時間を持てば、自分の軸が明確になり、チームに示す方向性もぶれなくなります。
同じ「アイデア」でも、状況によってその質は大きく変わります。
下の表は、現場に追われているときと俯瞰して考えているときの違いを整理したものです。
状況 | 出てくるアイデアの特徴 |
---|---|
業務に追われているとき | ・短期的、応急処置的 ・「今すぐ解決」に偏る ・根本的な改善につながりにくい |
俯瞰して考えているとき | ・長期的、未来志向 ・仕組みや構造を変える発想 ・ビジョンの実現につながる |
比べてみると分かるように、俯瞰して考える時間を持つことで、より未来志向の発想が得られることが明らかです。
考える時間がリーダーに必須である理由
経営者や経営陣、リーダー、マネージャーといった立場にある人ほど、現場から離れて考える時間が欠かせません。
なぜなら、この時間があるかどうかで組織の未来が大きく変わるからです。
考える時間を持つことで得られる主なメリットは次の通りです。
- 長期的な方向性を見失わない:日常の業務に流されず、ビジョンや戦略を見直せる
- 意思決定の精度が高まる:即断即決ではなく、俯瞰的に選択肢を比較できる
- 優先順位が整理される:本当にやるべき「重要なこと」に集中できる
- チームに示す言葉が変わる:リーダー自身がクリアになることで、伝える言葉も明確になる
逆に、この時間を持てないとどうなるでしょうか。
リーダー自身が「現場に埋没する人」になり、短期的な対応に追われるだけになります。
その結果、チーム全体も同じように場当たり的になり、未来を描けなくなってしまうのです。
だからこそ、考える時間を「特別なもの」ではなく、日常の習慣として取り入れる必要があります。てないと、リーダー自身が「作業に追われる人」になってしまいます。
組織を前進させるべき存在が現場に埋没すると、チーム全体も短期的な思考に陥ってしまうのです。
EOSにおける“すっきりブレイク”
一般的な経営学でも「考える時間の重要性」は昔から指摘されてきました。
しかし、日々の業務に流されやすいリーダーにとって、それを習慣化するのは意外と難しいのが現実です。
そこで、EOS(起業家型組織運営システム)では、この時間を「すっきりブレイク(Clarity Break)」と名付けています。
ただの休憩ではなく「思考を整理し、未来を描くための時間」と定義し、経営者やリーダーに実践を強く推奨しているのです。
- 現場に流されず、冷静に物事を判断できる
- 長期的な戦略と短期的な行動をつなげられる
- 問題の本質に気づき、根本から解決できる
つまり、すっきりブレイクは「考えることを仕事の一部にする」ための仕組みです。
リーダーとして組織を未来に導くために、この時間を意識的に確保することが欠かせません。
まとめ|考える時間を仕組みにする
リーダーにとって最も大切なのは、未来を描き、組織をそこへ導くことです。
そのためには「考える時間」を意識的に確保しなければなりません。
現場に追われていると、どうしても短期的な応急処置ばかりが積み重なります。
しかし、俯瞰して考える習慣を持てば、長期的な戦略や仕組みづくりにつながる未来志向のアイデアが生まれます。
EOSでは、この考える時間を「すっきりブレイク(Clarity Break)」として仕組みに組み込んでいます。
単なる休憩ではなく、思考をクリアにし、次の一手を描くための大切な時間です。
小さな一歩が、やがてチームと組織の未来を切り拓く大きな力となります。
書籍紹介
『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。
本書では「すっきりブレイク(Clarity Break)」をはじめ、L10ミーティング、石(Rocks)、スコアカードなど、経営者やリーダーが成果を出すために欠かせないツールが体系的に紹介されています。
特に、現場から一歩離れて考える習慣を持つことの重要性が全体を通して一貫して強調されています。
仕組みを武器にして、組織を着実に前進させたい経営者・リーダーに最適な一冊です。
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ジーノ・ウィックマン 著