「また会議か…」「話は出たけど、何も決まらなかった」——そんな声がチームから聞こえていませんか?
特に中小企業では、事前に準備を重ねて会議に自信を持って臨んだとしても、結局のところ結論が出ないまま終わってしまうことが少なくありません。
しかしながら、その背景には「会議の目的が不明確である」という問題があります。たとえば、意見交換をしたいのか、意思決定を下したいのか、あるいは単なる活動報告をしたいのか。このように目的が混在していると、当然ながら結論には至りません。
そこで大切なのが、「何のための会議か」を明確にすることです。そして、その目的に合った進行フレームを持っておくこと。これだけで、会議の成果は大きく変わります。
このような「時間の消耗」を防ぐ方向性を示してくれるのが、パトリック・レンシオーニ著『決める会議(Death by Meeting)』です。
「決める会議」は、L10ミーティング(10点満点ミーティング)と重なる
『決める会議』では、「会議が退屈で役に立たない」という風潮を否定し、本来の会議はドラマティックで、問題解決の場であるべきだと説いています。
この考え方は、EOSのL10ミーティング(10点満点ミーティング)の設計思想と重なります。
L10ミーティング(10点満点ミーティング)とは?
L10ミーティング(10点満点ミーティング)は、EOSの中核となるツールです。毎週開催され、スコアカード・石(Rocks)・ToDo・課題などを構造的に確認します。
これにより、問題が後回しになることなく、「解決する文化」が自然と根づいていきます。
90日の世界とL10ミーティング(10点満点ミーティング)の連動
EOSでは、会社の目標を「90日(四半期)」単位で設計します。これが“90日の世界”です。そして、L10ミーティング(10点満点ミーティング)は、週次でその目標に向かって進捗を調整する役割を担います。
この2つを組み合わせることで、戦略が現場レベルまで浸透し、紙の計画が「生きた行動」へと変わるのです。
女性リーダーこそ、会議の構造を活かすべき

女性リーダーは、会議の雰囲気や人間関係に敏感です。そのため、問題提起や決断に慎重になる傾向があります。
しかし、L10ミーティング(10点満点ミーティング)のように進行が決まっていると、「問題を出していい」という安心感が生まれます。結果として、率直な議論が交わされるようになるのです。
「課題を出す文化」を根づかせる
EOSでは「Issues are good(課題は良いこと)」という考え方が徹底されています。課題は隠すものではなく、むしろ出すことが組織への貢献です。
この文化が根づくことで、遠慮や我慢ではなく、率直な対話が行われる健全なチームへと変わっていきます。
会議の質を高めるための比較表
同じ「会議」であっても、その設計と運営方法によって得られる成果は大きく異なります。以下の表では、一般的な会議とEOSのL10ミーティング(10点満点ミーティング)の違いを比較し、なぜL10ミーティング(10点満点ミーティング)がチーム成果に直結するのかを可視化しています。
一般的な会議 | EOSのL10ミーティング(10点満点ミーティング) |
---|---|
目的が曖昧なまま進行される | 目的が明確で、アジェンダが固定されている |
発言に遠慮がある | 「オープンで正直に話す」ことが推奨される文化 |
進捗確認だけで終わる | スコアカードや石(Rocks)の確認後に課題の本質を掘り下げる |
議論が広がりすぎて結論が出ない | IDS(Identify, Discuss, Solve)で解決まで導く |
課題は隠されがちで出しづらい | 「課題は良いこと」と捉え、積極的に共有する文化がある |
次のアクションが曖昧 | ToDoを明確化し、次週のL10で確認する |
まとめ|「決める会議」×EOSで行動につながるチームへ
ただ話し合うだけの会議は、もはや時代遅れです。これからのチームには、「決める会議」が必要です。
『決める会議』のエッセンスと、EOSのL10ミーティング(10点満点ミーティング)を組み合わせることで、チームは変わります。会議が成果につながる「武器」になれば、会社の成長も加速していくはずです。
意思決定できる会議、始めてみませんか?
書籍紹介|『決める会議(Death by Meeting)』とは?
『決める会議(Death by Meeting)』は、リーダーシップ論の第一人者パトリック・レンシオーニによるビジネス寓話(ビジネス・ファブル)です。会議が「退屈で意味のない時間」になってしまう原因を、ある企業の再建ストーリーを通じて浮き彫りにし、効果的な会議の設計と運営方法をわかりやすく提示しています。
著者は、会議がつまらない理由を「ドラマ性の欠如」と「目的の混在」に求め、それぞれに対する処方箋として「会議の種類を分けること」と「ストーリー性を持たせること」を提案します。たとえば、情報共有・意思決定・戦略議論といった目的別に会議を明確に設計し、それぞれに必要なテンポと議論の深さをもたせることで、会議は「価値ある時間」に生まれ変わると説いています。
この考え方は、EOSの「L10ミーティング(10点満点ミーティング)」にも通じます。L10では、毎週同じ構造で「成果の確認」「課題の特定と解決」「行動の明確化」を行うため、会議がぶれずにチームの成果に直結します。『決める会議』を読むことで、EOSの会議設計に込められた意図や効果を、さらに深く理解することができるでしょう。
会議が「なんとなく集まる場」になってしまっている組織や、チームの合意形成に悩む経営者・リーダーにとって、本書は「会議を変えれば、組織が変わる」ことを実感できる一冊です。
▶パトリック・レンシオーニ著『決める会議(Death by Meeting)』