「自分でやった方が早い」「教える時間がない」「まだ手放すのは不安」。
これは、現場の多くのマネージャーが抱える本音です。特に責任感が強く、丁寧な仕事をこなしてきた女性リーダーほど、業務を手放すことに慎重になる傾向があります。
なぜ、権限委譲がうまくできないのか?
権限委譲ができない根本には、「信頼不足」や「完璧主義」、そして「自分がやった方がミスがない」という思い込みがあります。しかし、それが積み重なると、リーダー自身の成長も、部下の成長も妨げてしまいます。
権限委譲ができない理由とその影響
理由 | 短期的な効果 | 長期的な影響 |
---|---|---|
自分でやった方が早い | 即時対応できる | 部下が育たず、負担が集中 |
教える時間がない | 忙しさが減らない | チームが属人化する |
心配・不安 | ミスを避けられる | 信頼関係が築けない |
まだ手放すのは早い | 一見「育成中」 | 任せるタイミングを逃す |
このように「手放せない」状態は、リーダー個人だけでなく、組織全体の成長を止めてしまいます。
EOSで学ぶ「任せる力」|Delegationの基本
EOS(Entrepreneurial Operating System)では、明確な役割分担と責任の明示が重視されます。その中でも、リーダーが「権限を委譲する」ことは、チーム全体の生産性と自己成長の両面に不可欠です。
Delegationの本質:リーダーの仕事は“手放すこと”
リーダーの仕事とは、「自分が抱えている仕事のうち、誰かに任せられることは何か?」を常に見極め、育成とセットで手放していくことです。
EOSでは、以下のようなワークが推奨されています。
- 時間の棚卸し:自分が週に何時間、何に使っているかを書き出す
- 手放し判断:誰かに任せられる仕事はないか精査
- 任せる仕組み:業務の目的・手順・判断基準を言語化
女性リーダーが陥りがちな「手放せない」落とし穴
特に女性リーダーには、責任感・共感力・きめ細かさといった強みがありますが、それが裏目に出ると「全部自分で抱える」ことにつながります。
自分の成長を妨げる思考パターン
思考パターン | 具体例 | 望ましい視点 |
---|---|---|
完璧にやりたい | 「私のやり方でないと不安」 | 「成果に必要な水準」を定義する |
感情で抱え込む | 「任せたら申し訳ない」 | 「任せる=信頼と成長の機会」 |
責任感が強すぎる | 「ミスが起きたら私の責任」 | 「失敗を一緒にリカバリー」 |
権限委譲の5ステップ|実践に向けた具体策

- 明確化:任せる業務と期待成果を具体的に伝える
- 説明:背景・判断基準・注意点を言語化する
- 小さく任せる:最初は限定範囲で任せてみる
- 振り返り:途中で成果を確認しフィードバック
- 定着化:最終的に「自分の仕事ではない」と手放す
権限委譲は、リーダー自身の“未来戦略”
手放すことは、逃げではなく「前に進むための戦略」です。部下に任せてこそ、自分が本来担うべきリーダー業務(戦略・育成・仕組み化)に集中できます。
特に、女性リーダーが家庭と両立しながらキャリアを積むためには、“やらないことを決める”勇気が必要です。
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