問題解決は原因特定で決まる|EOSツールで真の原因を知る

白いスーツに赤いインナーを着た女性リーダーが笑顔で立ち、「問題解決は原因特定で決まる EOSツールで真の原因を知る」というテキストが表示されている。 EOSツール実践ガイド

会議で議論ばかりが続き、結論や解決策が出ない──そんな経験はありませんか。特に女性リーダーの場合、参加メンバーの意見を尊重しすぎて原因特定が甘くなることもあります。原因の多くは、議論の最初に「本当の問題」を特定できていないことにあります。そのため、EOSのIDSツールでは、この最初のステップ「Identify(アイデンティファイ)」が問題解決の成否を大きく左右します。

EOSルーツ「IDS」とは何か

IDSは、EOS(起業家型組織運営システム)の課題解決フレームワークです。Identify(原因を特定する)、Discuss(議論する)、Solve(解決する)の3つのステップで構成され、会議の中で課題を効率的に解消することを目的としています。

特に最初のステップ「Identify(アイデンティファイ)」は、問題解決の方向性を決定づける重要なプロセスです。ここで真の原因を見極められれば、その後のDiscuss(議論する)とSolve(解決する)は短時間で効果的に進みます。

会議が進まない本当の理由

『I』が弱いと解決策は見えてこない

表面上の問題だけを議題にしても、解決策は一時しのぎになります。さらに、EOS創設者ジーノ・ウィックマンは「最初に挙がった課題が根本原因であることはめったにない」と述べています。つまり、正しい原因特定なしに進める議論は、方向性を誤りやすいのです。

よくある失敗パターン

例えば、ある女性マネージャーは、チーム内の人間関係に配慮するあまり、深く原因を掘り下げられず会議が終了してしまうことがありました。こうした配慮は大切ですが、根本原因を突き止めなければ同じ課題が繰り返されます。

・現象だけを話して終わる
・人が原因の場合でも建設的に扱えない
 真因が人にあるケースは少なくありません。しかし、非難や感情的な追及になると解決にはつながりません。改善や支援につながる議論が必要です。
・必要なデータや事実が不足している

悪い例(責任追及に偏る)
 → 「このミスは◯◯さんのせいだ」と感情的に非難するだけ
 → 根本原因の改善や解決策が出てこない

Identify(アイデンティファイ)とは何か

IDSにおけるステップ1の役割

このステップは「原因を特定する」ことに集中します。ただし、ここで求められるのは表面的な事象ではなく、再発を防ぐための根本原因です。この段階を丁寧に行うことで、次のDiscussやSolveがスムーズになります。

表面の課題と根本原因の違い

例えば「売上が低下している」という現象があります。この場合、根本原因は「見込み客への接触数不足」かもしれませんし、「顧客単価の低下」かもしれません。そのため、Identifyでは現象の背後にある構造的要因を探ります。

原因特定を極める3つの実践

白いスーツに赤いインナーを着た女性リーダーが、オフィスで笑顔を見せている。

1. 「5 Whys」で掘り下げる

「なぜ?」を5回繰り返して問いかけます。こうすることで、表面の事象から本当の原因にたどり着けます。

2. 原因を6つのカテゴリーに分けて考える

💡 ジーノ・ウィックマンはこう言っている
課題の多くは、Vision(方向性)・People(人)・Data(数字)・Issues(その他の問題)・Process(業務の流れ)・Traction(実行)のいずれかに分類できる。この6つの枠に当てはめれば、見落としが減り、議論の焦点も絞りやすくなります。

3. 事実と意見を分けて整理する

「事実」=データや具体的な出来事、「意見」=推測や感想を分けて議論します。さらに、事実に基づく特定は精度が高くなります。

原因特定力を高める会議の仕組み

議題リストの事前整備

議論に入る前に、課題リストを整理し、何について話すのかを全員が把握しておきます。これだけでIdentifyの精度は上がります。

データ・事実を共有してから議論

スコアカードやレポートなど、課題に関連する事実を先に共有します。この結果、感覚的な判断が減り、議論が的確になります。

I・D・Sの比較表

ステップ目的失敗例成功例
I(Identify)原因を特定表面の現象だけを見る根本原因を掘り下げる
D(Discuss)解決策を検討責任追及に終始する複数案を比較検討
S(Solve)行動を決定ToDo化せず放置期限と担当を明確化

まとめ|『I』を極めて問題解決を加速する

Identify(原因を特定する)が弱いと、どれだけ議論しても本質的な解決にはたどり着けません。

特に女性リーダーは、人間関係への配慮から踏み込みをためらう場面もありますが、正しい原因特定はチーム全体を守る行為です。

原因をしっかり掘り下げれば、Discuss(議論する)とSolve(解決する)は自然に進みます。次回の会議では「表面ではなく根本」を探る意識を持って臨んでみてください。

あわせて読む|IDS三部作

D=Discuss|建設的に最善策を選ぶ
S=Solve|“動きが見えるToDo”の作り方

参考書籍『TRACTION』の活用ポイント

本記事で紹介したIDSは、EOS(起業家型組織運営システム)の公式ガイドブック『TRACTION』で詳しく解説されています。著者ジーノ・ウィックマンは、会議を効率的に進めるためには、まず真の原因を見極めることが不可欠だと強調しています。

特に「最初に挙がった課題が根本原因であることはめったにない」という視点は、Identifyステップを深めるうえで欠かせません。『TRACTION』を読むことで、IDSの3ステップ全体を理解し、会議の生産性を飛躍的に高める方法を学べます。

会議の空回りを減らし、チーム全体が成果に直結する議論を行えるようになりたい経営者・リーダーにとって、『TRACTION』は必携の一冊です。

『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著

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