途中は失敗に見える?|カンターの法則とEOSツールで越える“中盤の壁”

スーツ姿の女性リーダーが真剣な表情で会議に臨む様子。「途中は失敗に見える?」カンターの法則とEOSツールを象徴するアイキャッチ画像 EOSツール実践ガイド
途中は失敗に見える──カンターの法則とEOSツールで“中盤の壁”をどう乗り越えるか

新しいプロジェクトを始めた時、最初はワクワクします。
「これはすぐに成果が出る気がする」「自分たちならきっとできる」──そんな風に思いがちです。
しかし数週間たつと課題が増えます。成果も見えず「失敗しているのではないか…」と不安になる。
これが、まさにカンターの法則が指摘する“中盤の壁”です。

カンターの法則とは?

「Everything looks like a failure in the middle.(途中はすべて失敗に見える)」
これはハーバード・ビジネススクールのロザベス・モス・カンター教授が提唱した有名な法則です。

『TRACTION』の中でも紹介されており、EOSを導入した企業が中盤で挫折しそうになる現象を的確に言い表しています。
導入直後は勢いがあります。しかし、課題が噴き出し成果が見えません。そんな時期は「失敗に見える」のです。

大事なのは、これは「自然な通過点」だということです。
途中で投げ出さず、仕組みやリーダーシップで越えるべき時期があると気づかせてくれるのが、この法則の本質です。

日常業務にも潜む“中盤の壁”

カンターの法則は大規模な変革だけではありません。
実は日常の業務にも当てはまります。

  • 新しい取り組みの数週間後
    最初のワクワクが落ち着きます。そして予想以上に手間がかかる現実に直面します。
  • 会議や改善活動の中盤
    同じ課題が繰り返されます。成果が見えず停滞感を感じます。
  • 組織や人の変化期
    新しい役割や人間関係に慣れる途中です。摩擦や誤解が増えることもあります。

つまり「失敗に見える瞬間」は特別なものではありません。
日常業務のあちこちに顔を出す自然な現象なのです。

EOSツールで“中盤の壁”を越える

この壁を乗り越えるために役立つのがEOSのツールです。特に 石(Rocks)スコアカード は強力な味方となります。

石(Rocks):長期ビジョンを支える必達項目

会社の1年必達項目を明確化し、四半期ごとに「今期の石」を設定します。
中盤で迷った時でも「なぜこれをやっているのか」を繰り返し確認できます。
経営層にとっては、チームをゴールへ導く羅針盤です。

スコアカード:小さな成功を見える化する仕組み

毎週の数値を追いかけ、進捗を具体的に確認できます。
成果が見えにくい時期でも「確実に前進している」と実感できます。
特に女性リーダーにとっては、感覚ではなくデータで信頼を築ける点が大きな支えです。

中盤の壁を越えるためのポイント

カンターの法則が示す「途中で失敗に見える」状態は自然なものです。
大切なのは、その状況をどう受け止め、具体的にどのような行動で乗り越えるかです。
ここでは、EOSツールを活用した実践的な解決策を整理します。

課題EOSツールでの解決策
成果が見えず不安になるスコアカードで毎週の数値を確認。小さな進捗をチームで共有し安心感を得られる
目的を見失う石(Rocks)で1年必達項目を振り返る。今やっていることがゴールにつながると再確認できる
モチベーションが下がるL10ミーティングで仲間と前進を共有。孤独に抱え込まずチーム全体で解決する文化を育む
期限がわからなくなる石(Rocks)の期限を見直す。焦りを整理し、長期的な視点で冷静に捉え直す
EOSツールで“中盤の壁”を乗り越える方法

女性リーダーにとっての“中盤の壁”

明るい表情でカメラに向かって微笑む女性リーダー。職場での自信と前向きさを示し、“中盤の壁”を越える力を象徴するイメージ。

男性中心の職場では「成果がまだ出ていない」と認めること自体が弱みをさらけ出すように感じられます。
さらに批判を受けた時に「頼りない」と思われたくないというプレッシャーも強くのしかかります。

しかしEOSツールを活用すれば状況は変わります。
弱みや停滞は「個人の問題」ではなく「チーム全体で解決すべき自然なプロセス」として扱えます。
スコアカードがあれば数字で状況を示せるため、リーダーは冷静さを保てます。
さらに石(Rocks)があれば「今は途中にすぎない」とチームにビジョンを再提示できます。

女性リーダーこそEOSを味方につけることで、心理的安全性を守りつつリーダーシップを発揮できるのです。

まとめ:中盤は乗り越えるためにある

カンターの法則は「途中で失敗に見えるのは当たり前」と教えてくれます。
重要なのは、その時期を仕組みとリーダーシップでどう越えるかです。

EOSの石(Rocks)とスコアカードを使えば進捗を可視化できます。
さらにビジョンを繰り返し確認できます。停滞に見える中盤も「越えるための時期」として乗り切れるのです。

中小企業の経営層、そして女性リーダーにとって、カンターの法則を理解することは「途中で諦めない力」を育むことにつながります。
これは組織を成長させる大きな原動力となるでしょう。

書籍紹介

『TRACTION』は、EOS(Entrepreneurial Operating System)の公式ガイドブックです。
組織運営の6つのコンポーネントやL10ミーティング(10点満点ミーティング)、石(Rocks)やスコアカードを詳しく解説しています。
今回紹介したカンターの法則についても触れられており、「中盤の壁」をどう越えるかを学べる一冊です。

『TRACTION』ビジネスの手綱を握りなおす 中小企業のシンプルイノベーション
ジーノ・ウィックマン 著

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