「あの女性リーダーは頑張っているけど、正直なところ数字で評価しづらい」——そんな声が、企業の中で聞かれることがあります。
しかし、その“頑張り”の中身こそが、チームの安定や成長に大きく貢献していることは少なくありません。
この記事では、EOS(Entrepreneurial Operating System)の考え方を用いて、女性リーダーの努力を「行動」として見える化する方法=スコアカードの活用について解説します。
なぜ女性リーダーの努力は見えづらいのか?
多くの女性リーダーは、以下のような“目立たない貢献”を日々重ねています:
- チーム内の空気を整える
- トラブルの予防に動く
- 部下や新人のフォロー
- 会議の議事整理やまとめ役
これらは組織にとって極めて重要な「潤滑油」のような役割ですが、数字にしにくいため評価に反映されにくいという課題があります。
EOSのスコアカードとは?
EOSでは、「毎週追いかける10〜15個の重要数字」をスコアカードとして設定します。
単なる売上や利益といった“結果(遅行指標)”だけでなく、“行動(先行指標)”を重視するのが特徴です。
指標の種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
遅行指標(Lagging) | 結果として表れる数字 | 売上/利益/退職率 |
先行指標(Leading) | 行動やプロセスの数字 | 1on1面談数/トラブル対応件数/フィードバック実施数 |
この“先行指標”をうまく設定することで、女性リーダーの貢献や努力を数字として把握・評価できるようになります。
女性リーダー向けスコアカードの設定例

女性リーダーが多く担っている「チームマネジメント」「人材育成」「フォローアップ業務」などに焦点を当てた指標例を以下にまとめます:
項目 | スコアカード指標の例 |
---|---|
チーム育成 | 週次1on1面談数/育成記録の提出回数 |
組織安定 | クレーム対応件数/トラブル予防アクションの件数 |
サポート力 | 新入社員フォロー完了率/チームサポート依頼数 |
コミュニケーション | 週次報連相の回数/Slack返信スピード(平均) |
こうした“行動の数字”を明文化して週次で追うことで、努力=数値として残る仕組みが整います。
実践事例:リーダー未経験の女性が活躍するまで
ある中小企業では、リーダー未経験の女性社員が昇格後に苦戦していました。
感覚で評価されることがプレッシャーとなり、自信を失いかけていたのです。
そこでスコアカードを導入。
「週に一度のチーム報告の質」「部下の成長への関与度」などを数字で追いかけた結果、リーダー本人にも「私はこんなにやっていたんだ」という実感が芽生え、周囲も変化に気づくようになりました。
半年後、その女性は次期マネージャー候補として全社から信頼される存在に。
可視化は、成長と自信のスイッチでもあったのです。
スコアカードは“育成ツール”であり“経営ツール”でもある
スコアカードは単に「人を評価するための仕組み」ではありません。
EOSにおけるスコアカードの本質は、経営の先行指標を毎週確認し、必要な行動をすぐに打てるようにする“事業の予兆センサー”です。
たとえば「商談件数が目標の80%に届いていない」と週次会議で把握できれば、次の1週間でフォロー対応やリード流入策を打つことができます。
月末・四半期末に「数字が足りませんでした」と気づくより、はるかに早く、かつ確実に軌道修正が可能です。
さらにスコアカードは、会議の質を劇的に高める効果も持っています。
なぜなら、すべてのメンバーが「感覚」ではなく「数値」に基づいて話せるようになるからです。これは組織の風通しや心理的安全性にもつながります。
女性リーダーの育成という観点でも、スコアカードを導入することで、リーダー自身が“事業数字”と“行動の因果関係”を意識するようになるという副次的効果も期待できます。
育成×評価×経営——この3つをつなぐ“見える化のハブ”こそが、スコアカードの真価。
だからこそ、女性リーダーの支援においても、育成・活躍・登用だけでなく、経営感覚を育てる仕組みとして非常に有効なのです。
まとめ|「行動を見える化する仕組み」が育成と事業成長の土台に
女性リーダーを育てたいと考える企業にとって、スコアカードは強力な育成・評価・経営ツールです。
単に感覚や印象で判断するのではなく、「事実」として行動を数値化する仕組みがあるだけで、本人も、周囲も安心して成長を支えられるようになります。
EOSの導入により、女性活躍の推進は“仕組み”として前進させることができます。
ぜひ、貴社でも女性リーダーの努力を数字に変える第一歩を踏み出してみてください。
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